社内SEとSIer(システムインテグレーター)系SEの違いを知っていますか?漠然と「社内SEはラクでワークライフバランスが確保できる」とか、「SIerのSEは残業が大変そうだ」とか、色々な印象があると思います。
この記事では、社内SEとSIer系SEの違いについて紹介します。
私の経歴について
- システムエンジニア歴11年目
- 現在は製造業社内SE
- 要件定義からプログラミング、運用保守まで全工程を担当
私は2020年でSE歴11年目になります。新卒後に入社したのは、日立製作所の情報システム系の子会社でした。東京で5年間働き、主に官公庁のシステム設計・開発を行ってきました。
その後、自動車部品製造業の社内SEに転職して6年になります。今の会社では主に生産管理システムや出荷照合システムなどの要件定義からシステム開発・プログラミング、リリース後の運用保守まで全工程を担当しています。
社内SEは、ユーザーからシステム化の要望を聞いて、道筋を立てるのが仕事
- プログラミングよりシステム化構想のスキルが必要
- 社内の業務内容を知っておく必要がある
社内SEとは、営業や経理など自社の各業務部門から要望されるシステム化内容をヒアリングし、システムを構築・運用開始することが仕事です。そのため、業務部門がどのような仕事をしていて、何が問題で、情報システムを使ってどのように解決するかを考えていかなければいけません。
社内SEが重視する仕事は、業務を理解して必要なシステムの構想を打ち立てることです。規模や会社の方針によっては、設計・プログラミング工程以降も社内SEが担当することがありますが、これらの工程をSIerに外注することもあります。
SIerに外注する場合、見積金額が妥当かどうか、判断するスキルも重要になります。
SIer のSEは、システムを開発して納品するのが仕事
- システム設計スキルやプログラミングスキルが必要
- 規模が大きくなればプロジェクトマネジメントが必要
システムインテグレーター(SIer)のSEは、企業や官公庁からシステム開発業務を受注し、システムを開発して納品するのが主な仕事です。社内SEはシステム化構想を打ち立てるのが主な仕事なのに対して、SIerのSEは、細かなシステム設計・プログラミング・インフラ構築を行い、システムを構築して納品するのが仕事です。
SIerのSEは、お客様先の情報システム部門担当者からシステム要件を聞き、システムを構築するのが仕事です。そのため、レベルの高い設計スキルと、プログラミングスキルが必要になります。
また、規模が大きくなればマネジメントスキルも必要になります。プロジェクトはスケジュールどおり順調か、懸念事項は無いか、品質は十分に確保されているか、などを管理していく必要があります。
社内SEは、ユーザーからの問い合わせやシステム維持管理が仕事
- 社内のユーザーからの問い合わせは、大小さまざま
- システムトラブルが発生したら素早い対応が必要
会社は情報システムが無いと仕事ができません。システムが停止してしまうと、業務に多大な影響を及ぼします。システムが正しく動作しているかどうかを監視し、トラブルが発生した場合に素早く対処するのが社内SEの仕事です。
各部門から問い合わせがくることも多々あります。内容としては、
- 各種システムの操作方法
- システムの出力結果についての確認
- ExcelやWordなど、Office製品の基本的な使い方
など、重大なものから、ネットで調べたほうが早そうな内容まで、たくさんのことを聞かれます。
社内SEをやっていると、ほぼ毎日、何かしらの問い合わせを受けますので、集中したくても集中できない日もあります。
ドキュメントを作成したりナレッジ共有システムを使うなどして、回避していかなければ、仕事が進みません。
SIerのSEは、業界ごとに担当が決まることもある
- 業界内の各社の情報が得られるので、ITコンサルタントの道が開ける可能性がある
- 業界を変わる部署転属は少し大変かも
SIerの会社の方針にもよるかもしれませんが、SIerの部門構成は、業界によって分かれています。
私が勤めていた会社では、このような感じで分かれていました。
- 官公庁の担当部門
- 地方自治体の担当部門
- 製造業の担当部門
- 金融業の担当部門
- 医療業界の担当部門
それぞれの部門の中でSEやPGや営業担当などが分かれていました。業界の中では、どの会社も同じような作業をしていたり、同じような問題を抱えていたりしますので、この部門構成の方が効率がいいのでしょう。
しかし、SIerのSEからすると、業界を跨って転属することは少しハードルが高いです。なぜかというと、身に着けてきた業務知識や業界知識が、他の業界では使えないからです。
逆をいうと、SIerとして長く働いていれば、業界内の同業各社の情報が得られますので、ITコンサルタントの道が開けます。
社内SEは、自分の会社のシステムのみ担当
- とはいっても、各部門の業務知識が必要なので、結構大変
- 社内に閉じ籠ると柔軟な考え方ができなくなるので、セミナーなどで他社交流を
社内SEは、その会社の情報システム部門の担当者になりますので、今自分が勤めているその会社だけが担当範囲になります。
とは言っても、会社の中には営業・経理・総務・購買などたくさんの部署があり、それぞれ業務内容や必要知識も違ってきます。社内SEも幅広い知識が必要になります。
しかし、今自分が勤めているその会社だけが担当範囲になってしまい、得られる情報が少なくなりますので、考え方が硬直化してしまう危険があります。これを防ぐためには、様々なセミナーを受講することが重要です。
大手SIer(NEC・日立・富士通・IBM・NTT)などは、同業各社の情報システム部門向けに意見交換するセミナーを通年開催しています。メシの種は各社の情報システム部門にありますので、抱えておくと受注に繋がりやすいからですね。
このように、うまく使ってスキルアップや仕事効率化につなげていくような行動が必要になります。
最後に
社内SEとSIerSEについて紹介してみました。どちらも特色があり、メリットもデメリットもあります。
IT業界は、ウェブ系もあればスマホアプリを作る会社もあったり、ITコンサルをメインでやっている会社もあればITを駆使した独自サービスを提供する会社もあります。
楽しい会社ライフが過ごせるよう、検討材料の1つになれば幸いです。
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