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某大手IT企業の営業マンが語った、RPAを勧めない理由と対処方法

私は会社でRPAの導入検討を行っています。現時点の状況は、各部門から業務自動化対象の手順書・業務フローを頂いており、RPA導入後の処理フローや、予想効果の算出まで完了しています。

そこで、業務自動化が可能なRPA製品をヒアリングするため、誰もが一度は名前を聞いたことがあるであろう、某IT企業大手の営業担当者と打ち合わせを行いました。

ところが、その営業マンはRPAを勧めない、RPAはダメだと主張しており、私も納得した部分もありましたので、ここ記事で紹介し、私が思う対処方法を記載します。

営業マンの言い分:画像認識方式の自動化は、UIデザインや色が変わっただけで使えなくなる

例えば業務アプリケーションでの作業を自動化する場合、人のマウス操作やキーボード操作を自動化する処理方式で実装することが考えられます。

このとき、ボタンやテキストボックスの画像をRPAに登録して、この画像と一致するものを見つけて、クリックしたりキーボード入力したりするのですが、UIデザインが変わるとRPAに登録した画像と一致しなくなるので、動かなくなる、というものです。

まぁ、確かにその通りですね。

対処方法:キーボード操作(キーストローク)で自動化する

画像認識は最終手段で、これ以外でできる方法をまず模索してみるのがいいと思います。その方法の1つにキーボード操作で画面操作していく方式です。これであれば、多少UIが変更されても、ショートカットキーが変わらなければRPAによる自動化は可能だと考えています。

営業マンの言い分:HTMLタグ認識は、HTMLのIDやClassなどの属性が変わると動かなくなる。

まぁこれも、おっしゃる通りだと思います。特に、他社が展開しているウェブサイトだと、他社のやりたいようにフロント側が変わってしまうので、しっかり情報をウォッチしておかないと、「急にRPAが動かなくなった!」という事態がおこります。

対処方法:HTMLタグの属性がページ内に存在しない場合のエラー制御をしっかり実装する

例えば、指定したHTMLタグ属性が存在しない場合はエラーメールを送信して異常を検知するという方法です。HTMLソースはウェブサイトを提供している会社が自由変えられますので、「勝手に変えないで!」と要望を出したところで実現するわけがありません。なので、利用者側としては、RPA処理がしっかり止まって異常終了したことがわかる仕組みの実装が重要です。

営業マンの言い分:WindowsフォームのUIセレクタ(ウィンドウハンドラ)も変わると使えなくなる

ウィンドウハンドラ、詳しいことはわかりませんが、Win32APIで取得できるアレですよね。これもHTMLタグ要素と同じで、UIコンポーネントが変わってしまうとRPAが処理できなくなってしまいます。

対処方法:UIが変わるタイミングでRPAを修正する

内製開発しているシステムであれば、自社内でコントロールできますので、他社が提供しているウェブサイト対応よりはよっぽど簡単にできます。外注しているアプリケーションも、受入試験のタイミングでRPAをテスト対象に組み込めば、事前に不具合があるかどうかを確認できます。

また、パッケージシステムも同様ですね。バージョンアップする前に必ずテストしますので、そのときにRPAの処理もテストすれば、本番運用中に急にエラーになるということは考えにくいです。

営業マンの言い分:RPAは自動化対象のシステムによって処理結果が大きく変わる。プログラミングした方が動作が安定する

上述したとおり、画像認識もタグ認識もウィンドウハンドラ認識も、画像や属性やハンドラが変わってしまうとすぐに動かなくなります。なので、こんなものに頼るよりはソースコードを書いた方がよっぽど安定しますよ、という主張です。

対処方法:内部的にVBscriptなどプログラミング言語で動作するRPAもあるから、必ずしもプログラミングが必要にはならない

RPA製品によっては、内部的にスクリプト言語で自動化を実現している製品もあります。なので、1から10までプログラミングしなくても自動化の恩恵を得られる可能性があります。

ただし、これはRPAパッケージが用意したスクリプトに当てはまりますので、用意されていないものは自分でプログラミングする必要があるかもしれません。

営業マンの言い分:我々はRPAベンダーではないから、実情を話している

まぁ、そうなんでしょう。売る気が無さそうな匂いがプンプンしました。売る気がなさすぎて、なんのための打ち合わせだったのか分からなくなってしまいました。

RPAに欠点があることは重々承知していたつもりです。それを回避するための情報が知りたかったのに、このRPA製品なら出来ますよ!って情報が欲しかったのに。。。

対処方法:RPAで出来ることは、プログラミングするよりも早く簡単に実現できるから、導入するべき

これに尽きると思います。どんな製品だって、欠点を上げればキリがありません。ダメなところなんて、いくらでも言えてしまいます。

利用部門の要求を早くて安くて簡単に実現できるのがRPAなら、既知の問題にしっかり対処して、導入するべきだと思います。

最後に:RPAで年間数千時間も効果が出る理由は、1作業のトータル作業時間が長いから

RPA製品の導入事例やネット記事を見ると、年間数千時間も工数削減できました、という内容のものをよく見ます。しかしこれにはカラクリがあって、ある特定の1作業がトータルで数百時間かかっていて、その1作業だけをRPAで自動化した、という理由のようです。

例えば保険の支払い業務で、申請内容と自社保有のお客様情報の突き合わせを行う作業というのは、年間で数百時間もかかっているそうです。このたった1作業を自動化するだけで、数百時間もの工数を削減できるのです。

そのため、年間数時間の作業をたくさん集めてRPAで自動化させようとすると、1つの製品で様々なことを自動化させる必要が出てきますので、効果よりもシステム変更による保守作業に手間がかかってしまうことが多々あるそうです。

RPAは万能じゃない。自動化対象を出来るだけ絞って、効果が出るものから進める

上述したとおり、RPAは様々な要因で動作停止が起こりうるシステムです。そのため、ある程度部門から自動化させたい業務の分析が完了したら、1つ1つの作業ステップを分類して、出現回数が多くて時間がかかっているものからRPA導入を検討するべきだと考えます。

例えば分析した結果、Excel操作が多いのであれば、Excel操作を実現するスクリプトが多いRPA製品を探すか、VBAでツールを作ることを検討しましょう。ウェブサービスやウェブアプリケーションなど、ブラウザで稼働するシステムが多いのであれば、HTMLタグ解析に強いRPAを導入するぁ、seleniumなどのブラウザ操作自動化ツールの導入を検討しましょう。

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RPAを導入する意味ってなに?RPAを導入するメリットを考えてみた

この数年でRPAに関するニュースが増えてきました。RPAを導入することで年間で数千時間の労働時間を削減したとか、数千社への導入実績をもつRPA製品のニュースなど、話題に事欠かないプロダクトです。

この記事では、RPAを導入する意味について書いてみました。

人が行う作業時間を削減できる。作業ムラがなくなり、スピードが早くなる

RPAは人間が行う作業を代わりに実施するロボットのことです。今まで人の手作業で行っていたデータ入力やメール送信、ドキュメント作成を、ロボットに作業させるのがRPAです。RPAが活躍してくれると、その分だけ人間が行う作業が少なくなっていきますので、人が行う作業時間が短縮されます。

RPAを導入する意味の1つ目は、人の作業時間を減らすことです。人ではなくロボット(ソフトウェア)が作業してアウトプットしますので、作業ムラがなくなります。担当者が休みでも問題なく仕事してくれるようになります。また、人の手でやるよりもロボット(ソフトウェア)が作業するほうがスピードが早いです。

労働力不足の問題を解決する

これからの日本は人口が減少します。15歳~64歳の人口は、2030年で6,875万人になり2065年には4,529万人にまで減少すると予測されています。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000062121_1.pdf

2065年というと今から約45年後(2019年時点)ですので、2019年に生まれた子なら45歳になっています。順調にいけば課長クラスになる年代でしょうか。 この年代では労働人口が2,000万人も減少しますので、人手が足らなくなるのは確実です。

そのためにも、人間ではなくロボット(ソフトウェア)にやってもらう仕事を今のうちに増やしておく必要があります。私たちの年代で作業の自動化を推進してノウハウをしっかり貯めておき、少ない人数でほかの国々との競争力を高める努力をしないといけません。

自由で余裕をもった働き方を実現できる

人間が行わないといけない作業がなくなりますので、自由な時間が増えていきます。そうすると、勤務時間が今より自由になるかもしれません。例えば、8:30~17:30までの8時間勤務だったのが、10:30~15:30など、勤務時間そのものが減ることが考えられます。

実際、週休3日制に移行した企業もあれば、オフィスをなくして全従業員が在宅で仕事をしている企業もあります。これからは、人間の作業時間がますます減っていく時代に突入するのです。

そうすると、余った時間は自由に使うことができます。旅行に行ったりスポーツしたり。自由で余裕をもった働き方を実現できるようになります。

ロボット(ソフトウェア)を手早く簡単に実現できる

これらの自動化は、ロボットソフトウェアがあれば実現できますので、極論を言えばRPAがなくても実現可能です。Excelなどのマイクロソフトオフィス製品の自動化であればVBAがありますし、EdgeやChromeの自動化はSeleniumやウェブスクレイピングなど、既に確立した手法でプログラミングを行えば誰でもソフトウェアを開発できます。

ただし、コーディングするということはそれなりに時間がかかります。例えば、導入までの作業工程が以下のとおりだったとします。

  1. 要件定義
  2. 基本設計/詳細設計
  3. ロボット作成/コーディング
  4. テスト
  5. 運用トライアル
  6. 業務適用

この場合、「1」「2」「5」「6」の部分はRPAでもプログラミングでも同じく必要な作業だと考えられますが、「3」「4」はコーディングするよりもドラッグ&ドロップで簡単に構築できるほうがスピーディです。既に実装済みの機能をマウスだけでつなげて構築するほうが、単体テストも不要ですぐにロボットソフトウェアを構築できます。

RPA製品は安いもので年間100万円のコストがかかります。これが高いか安いかは、導入によってどれだけ効果が出るか予測すれば自ずと答えが出ると思います。このコストを導入効果でペイでき、かつ、業務にフィットしたRPA製品が見つかれば、導入する意味は十分にある製品です。

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RPA が活躍する業務の特徴と洗い出し方法

仕事で RPA の導入を検討しています。RPAにもできることとできないことがあり、どのような業務で使用すればメリットを最大化できるか、検討してみました。

1. RPA でできること

RPA はPC操作を自動化するロボットであるとよく紹介されています。平たく言えばそのとおりで、キーボード操作やマウス操作(左クリック・右クリック)を自動化したり、Excelやブラウザ・システムの操作を自動化することができます。

具体的には、

  1. Excel シートからデータを取得してループ処理で他システムへ入力
  2. 乱雑に置かれたファイルをフォルダ分け
  3. 任意のプログラムを実行して返り値を変数に格納
  4. 業務システムの操作自動化
  5. Outlook メール自動作成・送信
  6. ブラウザに表示された文字列の取得

など、挙げればきりがありませんが、PC操作に関することであれば、様々な操作を自動化することができます。

2. RPA では難しい判断ができない。

RPA は基本的にはロボットですので、難しい判断はできません。

単純なIF文で定義できることならRPAでも条件分岐できると思いますが、IF文で定義できない条件はRPAでは実装できません。

例えば、受注情報から生産指示を出す際に生産現場の負荷状況を判断して納期を決定する、などです。このようにシステム管理外の条件が影響する場合は、RPAによる判断は不可能です(プログラミングしても難しいと思います)。

3. 手書きの文字認識率が低い

これはAIの分野で研究開発が活発に行われている分野ですが、手書きの文字認識率は低いです。コンピューターで印字された文字であれば高い確率で認識できるそうですが、手書きでは人の癖が顕著に表れますので、誤った文字列で認識してしまう可能性が高いです。

文字認識率が100%であれば問題ありませんが、99%以下であれば誤った文字列で認識した場合の検知機能が必要です。例えば、受注情報をPDFで受け取った場合でOCRで受注情報をシステムに取り込む場合、品番誤り、納期誤り、数量誤り、単価・金額誤りなど、様々なエラーが考えられます。

このように誤った文字列で認識された場合、どのようにエラーとして判断するか、実装しておいた方が無難です。

品番や単価であればマスタとの整合性チェックを行う、納期であれば実在日であることのチェック、金額は単価×数量で検算してみる、などが具体策として考えられます。

4. GUIフォームの作成やワークフローの構築

RPA はPC操作のロボットですので、GUIやワークフローの構築機能はありません。これらについてはパッケージソフトウェアを購入するか、Visual Studio等の統合開発環境の活用、もしくは高速開発ツールの導入を検討する必要があります。

5. RPA が一番活躍できる業務は?

RPAが一番活躍できる業務は、ずばり「頻度が多く」、「単純作業」で、「長い時間かかっている」業務です。例えば、

  1. 売掛金回収予定表作成(経理)
  2. 会計システムへの入力(経理)
  3. 支払予定表の作成(経理)
  4. 過重労働者のリストアップとメール通知(総務人事)
  5. 経営月次レポート作成(経営管理)
  6. 販売商品の見積書作成(営業)
  7. 受注メールの自動処理(営業)
  8. 発注メールの自動送信(購買)
  9. 出荷実績情報登録(出荷部門)

などが考えられます。

6. 本当にRPAが業務改善に役立つのか

本当にRPAが役に立つかは、各部門からヒアリングしてみないことには分かりません。例えば専用のシステムを構築して十分効率化を図っているのであれば、RPAを導入しても効果が小さい可能性もあります。
ヒアリングした結果、RPAではなく、専用システムやワークフロー、CMSなど他システムの構築の方がメリットが大きいこともあります。

RPA は実行ライセンス+開発ライセンス それぞれ1ライセンスずつで、年間 100 万円 と言われています。1時間あたり 4,000 円 として換算すると、

  • 年間で 250 時間
  • 月間で 21 時間

の業務効率ができれば、RPA導入コストをペイできる計算になります。

RPA の導入の最大化させるためには、業務分析と改善施策の検討が重要です。

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RPAを導入する前にやる、業務効率改善検討の進め方

RPAすごく流行ってますね。PC作業が自動化されれば確かに作業効率が上がり、本来やるべき仕事に集中できますので、導入したくなりますよね。

ただし、その前に、どの業務に対してRPAが導入できるのか、そもそも本当にRPAがベストなのか、検討が必要です。そこで、RPAを導入する前にやるべき業務効率改善検討の進め方を紹介します。

1. そもそも、効率を改善する対象の業務とは?

RPAはRobotic Process Automation という名のとおり、PC操作やプログラム実行を自動化するロボットです。なので、新規プロジェクトの業務を行うためのシステムではありません。新規プロジェクトの業務であれば、その業務専用のアプリケーションを開発するはずですが、RPAはそのようなシステムではありません。

そのため、RPAが活躍する場所は、現在定常的に行っていて、かつ比較的単純な業務になります。

2. 効率改善を検討する部門および対象者を選定する。

だれの業務効率を改善させるのか、対象者を選定します。最初は、部門全体でなく、人にスポットを当てて検討を進めると、進みやすいかもしれません。

3. 改善検討チームを発足させる

対象者が決まったら、改善検討を行うチームを発足させます。対象者から業務内容をヒアリングしても、実際にどうしたら効率が上がるのか検討が出来ないと意味がありません。そのため、対象者の業務を熟知している人が必要です。

改善検討チームには、対象者の上司または業務内容を熟知している人が必須です。それ以外にも、システム化を検討する情報システム部門担当者が必要です。別の視点からも検討できるよう、他部門の担当者が居てもいいかもしれません。

4. 対象者から業務リストを提供してもらう

対象者がどのような業務を行っているのか、知る必要があります。ここで出してもらう情報は以下のとおりです。

  • (1)作業内容および手順
  • (2)作業完了までの平均時間
  • (3)その作業にかかる人数
  • (4)作業を実施する頻度と回数(毎週1回、など)

5. 改善検討チームにて、改善策を検討する。

業務改善策を検討しますが、ねらい目は 年間で多くの作業時間をかけている業務です。3時間かかるけど年1回しかやらない業務より、毎月2時間かかっている業務の方が、年間ののべ作業時間は多くなりますよね。そのような、年間ののべ作業時間が多い業務がねらい目です。なぜなら、RPAは年間ライセンスが多いので、1年間にどれだけの工数が削減できるかが重要になります。

検討した結果、本当に必要なシステムはRPAではない可能性もあります。実はEXCELのテンプレートがあるだけで良かったり、社内CMSを構築して問合せ数を減らす方が効果があるかもしれません。RPAに囚われず、本当に効果があるシステムは何なのか、検討しましょう。

6. 改善施策(案)を対象者とレビューし、対策を実施する。

改善施策を対象者とレビューすることで、本当に改善ができるのか、実際に業務を行う人が無理のない内容になっているか、確認します。その結果、改善後の内容で問題ないというものに対して、実際に対策を行っていきます。

7. 改善後の方法で業務を行い、効果を測定して改善検討チームへフィードバックする

実際にどれだけの効果が出たのか、改善検討チームにフィードバックしましょう。どれくらいのコストをかけて、年間でどれくらいの工数が削減できるのか、分析していきましょう。

8. 一連の内容をまとめ、全社展開する

一通り分析が完了したら、分析結果を全社に展開しましょう。他部門の誰かの目にとまり、自分の部署でも適用できそうだと分かれば、水平展開ができるかもしれません。同じシステムが使える業務が増えれば、コストメリットも上がります。他部門の上司から声がかかれば、自分の評価アップにもつながるかもしれません。

9. 次の対象者を選定して改善検討をおこなう。

これ以後は繰り返しです。このような業務分析は1回サイクルを回しただけでは終わりません。何度も改善検討を行い、結果を蓄積して全社展開を繰り返しましょう。そうすることで、年間でかなりの工数削減ができるかもしれません。